役人が「忖度」をすることによって得られる報酬とは?
古賀茂明×望月衣塑子が「独裁者」を斬る!③
■嘘答弁も、役所内では「頑張った、よくやった」でしかない
古賀 貸し借りの関係は、役人個人と政治家の間に直接発生する場合もあれば、役所と政治家の間に発生する場合もある。また、両方に発生することもあります。現実には多くの場合、政治家に対する「忖度の貸し」は、その官僚が所属する役所が報酬の支払いという形で弁済します。たとえば問題となる土地の不当安値販売を行った当時の迫田理財局長に対しては、財務省が今後10年以上にわたる天下りあっせんで手厚い処遇をする可能性が高いです。一方、安倍夫妻も何かのときに、忖度してくれた官僚らに対して便宜を図ることになるでしょう。彼らは、麻生財務相との関係でも大きな報酬を期待できるかもしれません。
官僚は、そういう計算をしながら、「忖度」をして、報酬を確保する。万一その結果、大きなトラブルになったときも「忖度による沈黙」を貫いて、さらに大きな報酬を期待するのです。今後の彼らの処遇をウオッチし続けていくことで、この問題の全体像や真偽が見えてくるだろうと思います。
望月 我が子も見ているだろうに、国会で答弁する佐川理財局長や財務官僚などが、恥ずかしそう、苦しそうに見えないのは、彼らが、この「忖度による沈黙」で大きな報酬を得られるからなのですね。でも朝日新聞の南彰(みなみあきら)記者が、野党議員から聞いた話をもとに、こんなことを書いていました。三月中旬に国会内の廊下で、野党の予算委員会のメンバーが佐川氏に「あなたも大変だねえ。あんな答弁を言わされて。身体に気をつけるんだよ」と声をかけたそうです。「そのとき佐川氏の目には涙が溜まっていたように見えた……」と。
古賀 涙目に見えたかもしれないけれど、そんなに悲壮感はないと思いますよ。彼らから見ると、世間がどう思うかよりも役所の上司がどう思うかが大事なんです。佐川氏がミエミエの嘘答弁をさせられても、上層部が、「よくやってるな。しっかり頑張れよ」と見ていてくれれば、それでよしというところでしょう。そういう環境だから、民間人の常識では考えられない答弁が堂々とできるわけです。
(『国難を呼ぶ男! 安倍晋三 THE 独裁者』より構成)